和食の力
「スローフード」「スローライフ」などの言葉が聞かれるようになりました。
なかでも「スローフード運動」は、1986年にイタリアではじまり、今では世界104カ国、約8万人もの会員を擁するまでに広がりをみせています。
運動の広がりとともに地産地消(その土地で収穫したものを、その土地で消費する)、オーガニック(農薬、化学肥料などに頼らない有機農法)などの用語も一般的に使われるようになっています。
「スローフード」という滑らかな耳ざわりのよい言葉からすると、どうしてもイタリアン・テイストの食事内容を想像しがちですが、
ごく普通に考えれば日本人にとってのスローフードは「和食」なのではないでしょうか。
和食は優秀です。
一汁三菜で三食をとっていれば自然と栄養バランスを保つことができます。
また、汁物もバランスをとるキーポイントを押さえています。
日本人の汁物といえば、まず思いつくのが味噌汁です。味噌汁について、
「実の三種は、身の薬」ということわざがあります。
味噌汁には、たとえば豚汁のように、多くの食材を受け入れて、うまく調和させる包容力があります。
ですから、不足している野菜類、芋類などを一緒に入れて食べれば、それだけで栄養バランスを補助する一杯にもなるのです。
またスローフード運動にともなった言葉「地産地消」によって、その土地でできる旬の野菜や魚を、その土地で消費する。
このスタイルこそが理想的だと喧伝されるようになっています。
日本の和食の世界にも昔から「土産土法」という言葉があります。
自分の身をおく三里四方のものを食べて生活するという意味だそうですが、共通する精神は「地産地消」と変わりありません。
また、中国薬膳にも「身土不二」(その土地で育った作物は、その土地から離れられない)があります。
言葉はどうあれ、これらに通じる精神をよく理解し、効果的に実践していくことが大事だと思います。
その意味では、「和食」の魅力というものを、現代の日本人は過小評価しているのではないでしょうか。
人は、食事を通してしか体をつくっていくことができません。
しかし、人体と食物という二つを結びつけるためには、「接着剤」の役目をするものが必要です。
その接着剤になるものが食事であり、またそのために日本人のバックボーンとしての「和食」という形態が大切だと思うのです。
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